NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」特別企画 宮崎駿特集

およそ2年半にわたって、監督を取材。これまで見たことのない監督の表情や、映画制作の現場の大きな流れが変わった節目の瞬間に遭遇。それを見事に捉え、映像におさめる。しかしその過程で監督から学んだ大事なこと、そして放送では見ることのできないとっておきのエピソードについて、番組を担当した荒川ディレクターにインタビューした。
宮崎監督の人間味を映し出す
--宮崎駿監督とディレクター荒川さんとの間にはちょっとしたドラマがあった。そのおかげで、今まであまり見ることのできなかった、監督の人間味とか、やさしさを見られることになる。
最初にお会いしたのが2年半ほど前で、その半年後から本格的な密着取材が始まりました。実は、僕すごく怒られて、一度取材を中断しているんです。その後僕の姿が見えないことに監督が“一回怒られたくらいで来なくなるようでは取材者として失格だ。怒られたら前に30センチ出るぐらいの覚悟でやらないと”というようなことをおっしゃっていたのを人伝えに聞いて、自分の浅はかさとか、宮崎さんの大きさを感じました。
--それをきっかけに再びスタジオに顔を出すようになる。
何度怒られてもとにかくそこから立ち去らないでいるっていう、居続けるということを実践して、とにかく前へ出る姿勢を見せていたら、宮崎さんもちゃんと応えてくれて。だから宮崎さんから教えられたことをやっていたという感じでしょうか。
理想のない現実者、現実主義者になっちゃいけない
--私たちが監督に学ぶ、仕事のスタイルとは。
宮崎さんは“人間的な作品をつくるには、非人間的な暮らしをしなきゃだめだ”って言うんです。さらに“理想のない現実者、現実主義者になっちゃいけない”ともおっしゃってますけど。理想をぎりぎりのところまで追いかけることを文字どおりやってる人で、だから非人間的な暮らしにならざるをえない。自分でやりとげたと、そう思えるためにはとにかくぎりぎりのところまでやらなきゃいけないっていうことを教えられました。宮崎さんは2年間映画づくりをやったとすると、記憶って2年ではなく、映画が100分だとすると、記憶が100分間しかないらしいですよ。要は結果だけしか残らないから、その2年間の記憶って全くない。すごい集中力ですよね。
--途切れることのない、宮崎監督のプロ意識はどこからくるのか。
今回の番組でもちょっと言ってるんですが、本人曰く自意識がすごく過剰な人間らしいんですよ。ある種の才能ある、クリエイティブな才能を持ってる人って、ときに感受性がすごく鋭すぎるぐらい豊かだったりとかっていうのはあると思うんですけど、宮崎さんの場合は特に強いって本人はおっしゃってて。“恥ずかしい作品はつくりたくない、自分の人生の中で恥ずかしいと思うような作品は残したくない”っていう思いが根っこにある。だからまわりのスタッフにも厳しくなるし、それ以上自分にも厳しくなるし。
今回、番組では落ちてしまったんですけど、ベテランの、しかもスタジオジブリでも一、二を争うぐらいの実力を持ったアニメーターの人が描いてきた原画を宮崎さんが直すっていう場面があって。宮崎さんでも、その人の絵を直すのはすごい覚悟がいるらしいんですよ。直してへぼかったら、“宮崎はたいしたことないな”ってアニメーターの人はみんな思うじゃないですか。そうするとみんなついてこなくなるから。宮崎さんは“俺はいつの瞬間も勝負してるんだよ”とおっしゃてて、なあなあとか妥協の産物で映画を生み出すとかいうのは、ほんと許せない、というような感じをもってますよね。恥ずかしいものをつくりたくないっていう。
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番組紹介:NHK「プロフェッショナル?仕事の流儀」
「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、様々な分野の第一線で活躍中の一流のプロの「仕事」を徹底的に掘り下げる新しいドキュメンタリー番組です。
キャスターは新進気鋭の脳科学者・茂木健一郎。脳の謎に挑む科学のプロが斬新な視点から、異分野のプロに切り込むトークも見ものです。
(放送日時は変更になる場合がありますので、番組ホームページ、goo テレビ番組でご確認ください)
オリジナル企画が満載!「崖の上のポニョと宮崎駿」特集
映画を実際に見てマニアックに座談会、鈴木敏夫さんのオリジナルインタビュー、宮崎駿関連作品のWEB検索ランキングを発表など独自企画満載で映画を見た人も見てない人も楽しめます。
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