発売当時の「あさげ」。ちぎり絵を使ったパッケージデザインは、現行の生みそタイプに受け継がれている。
現行の「あさげ」。薄緑色は発売当時からのイメージカラー。6袋入り220円。
忙しい朝は手作りみそ汁の代わりに生みそタイプを一杯。お昼はお弁当と一緒に持参した粉末タイプをマグカップで。残業する夜はカップタイプにお湯を注ぐ……。即席みそ汁は日本人の食生活に欠かせない存在になった。今や出汁からみそ汁を作る家庭は少なくなっているかもしれない。
中でも最も知名度が高く、多くの消費者に支持されているのが、永谷園の「あさげ」シリーズ。数多くの即席みそ汁を販売する永谷園の主力商品だ。普段はみそ汁のブランドを気にしない人でも、薄緑色の背景と独特の筆文字をあしらったパッケージには見覚えがあるはずだ。
即席みそ汁が発売されたのは1960年代の初期。現在主流になっているフリーズドライ製法の商品もあったが、その多くは熱風を使った高温乾燥タイプの商品だった。家庭でのみそ汁作りは手間がかかるので、値段は手頃、お湯を注ぐだけでできる便利な即席みそ汁はかなり重宝されたという。
だが、出汁からとるみそ汁との差は歴然としていた。当時はフリーズドライでもみその風味に欠け、具の食感も今ひとつ。その結果、即席みそ汁には「安かろう、まずかろう」のマイナスイメージが付いてしまった。せっかくできた新市場も、70年代以降は伸び悩む。
永谷園の即席みそ汁は、1967(昭和42)年に発売した「赤だしみそ汁」が最初。現在も販売されている粉末タイプの定番商品だが、市場を一変させるまでには至らなかった。そこで投入したのが粉末タイプの「あさげ」。「安かろう、まずかろう」だった即席みそ汁のイメージを覆すため、値段は高くなっても、手作りのみそ汁に負けない本格的な味を目指して開発された。
みそには、どの地方にも受け入れられやすいよう、2種類の米みそをブレンドした合わせみそを使用。最新のフリーズドライ技術を取り入れ、乾燥前の豊かな風味をキープした。具材はわかめ、麩、ネギの3種類。どれも従来のとは一線を画す高級なものを選んだ。
発売は1974(昭和49)年の2月。4袋入りで価格は170円だったから、1袋換算で約40円ということになる。今の感覚なら充分に安いが、発売当時の「あさげ」は常識を越えた高額商品だった。当時の即席みそ汁は1袋10円が相場だったのだ。
「商品には自信がある。でもこの値段で売れるだろうか?」さすがに永谷園も不安だったのだろう。全国販売の前に、まずは広島・山口地区でテスト販売を行った。結果は期待以上。即席みそ汁のイメージを覆すその美味しさは、消費者を納得させるだけの力を持っていた。「あさげ」は普段使いではないぜいたくなみそ汁として認知され、短期間のうちに大きく売れ行きを伸ばしてゆく。









