「引きこもり」するオトナたち
引きこもりは本当に“怠け者”!?
95%が精神障害を持つ現実と偏見の間
2010年6月24日
今回も前回に引き続き、ようやく動き始めた国の引きこもり対策の動きについて話をしていきたい。
引きこもりの96%が社会復帰!?
驚異的な「支援プログラム」
前回報告したとおり、厚労省は、2010年3月中に、新しい「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン(案)」を公表する予定だ。ガイドラインは、「引きこもり」現象についての相談を受けた現場の担当者らが、「引きこもり」として判断、アプローチしていく際の指針となるものである。
その厚労省研究班の主任研究者、国立国際医療センター国府台病院第二病棟部長の齊藤万比古氏らが、新ガイドライン案の概要を解説し、3年間にわたる研究成果などを報告するシンポジウムが、2月19日、東京都千代田区の「日経カンファレンスルーム」で開かれた。
中でも、興味深かったのは、「引きこもりの96%が社会復帰した」という、驚異的な「和歌山大学・ひきこもり回復支援プログラム」の“成果”だろう。
調査報告した神戸学院大学人間科学部の水田一郎教授(精神医学)によると、「引きこもりではなくなる」ことを1つの効果の目安とみるのであれば、プログラムの開始された93年から8年間に、引きこもりだった学内の全学生72人のうち、97%にあたる70人が大学を卒業。96%にあたる69人は、社会参加まで至った。02年以降も、プログラムで関与した学生の85%以上は卒業していて、中には、国際ボランティアのリーダーや、精神保健の専門家になった人もいたという。
もちろん、対象者がまだリスタートしやすい大学生であることと、引きこもってからまだ日が浅いであろう点は、差し引いて考えなければいけないかもしれない。とはいえ、この驚異的なプログラムのソフトは、一般の引きこもり対策にも、十分参考になるのではないかと思う。
引きこもり脱出を目指す
“アミーゴ”との4段階プログラム
では、いったい、どのようなプログラムなのか。紹介した水田教授によると、次のような4段階に分かれるという。
まず、第1段階では、保健管理センターに常駐する精神科医が、相談を受け付ける。相談者の大半は、引きこもりの保護者だが、プログラムを丁寧に説明し、引きこもり本人の了解を得られた場合に、精神科医が自宅や下宿を訪問。何度か訪問を繰り返し、統合失調症やうつ病などのために医療介入が必要と判断されたときには、医療機関を紹介し、受診を勧める。
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「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。
■著者紹介
池上正樹 [ジャーナリスト]
1962年生まれ。大学卒業後、大手通信社や制作会社の勤務を経て、フリーに。月刊誌や週刊誌、夕刊紙で、ひきこもり現象や健康医療、マンションなど、医・食・住のテーマを主に手がける。著書は、『ハッピー リタイア マニュアル』(ゴマブックス)、『痴漢「冤罪裁判」』(小学館文庫)、『「引きこもり」生還記』(小学館文庫)など。
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